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やすかというと、それはほとんどの場合は妊娠に備えているからなのです。たとえどんな饑餓状態に置かれたとしても、子供を産めるだけのエネルギーを備蓄しておくということのために胃部から大腿の皮下に脂肪を備蓄しているというのが若い女性の姿なのです。要は種の保存のために皮下脂肪を備蓄している。そのエネルギーの備蓄は、貯金にたとえれば、定期預金のようなもので普段は使わないという形なのです。これを減らすと、かえって障害が起きやすいのです。ですから、下半身が太っているのはまったく医学的には問題ないといえるのです。
ところが男性の場合は、若い世代から内臓脂肪型で太りやすいということがあり、それがリスクにつながる。女性ではなかなか動脈硬化による心筋梗塞などは閉経前は起こらないのでそれが女性が長生きできる一つの大きな理由でもあるわけです。男性が長生きできない理由の一つは、いつでも使える形でエネルギーを備蓄をしていて、いつでも攻撃ができる、獲物をすぐ獲りに行けるという体制をもっています。腹腔内の脂肪組織は非常に活性が高くでちょっとした刺激で脂肪の分解を起こしますので、それが肝臓に大量の遊離脂肪酸を運び込み、インスリン抵抗性を呼び起こし、血糖値を高めやすいというプロセスが起こってくると見られます。
要指導と判定した人で、いま言った上半身肥満、とくに内臓脂肪型の肥満がある場合、以下の点に留意しましょう。すなわち、基本健康診査では必ず脂質を調べているはずです。HDLコレステロールも調べているし、中性脂肪も調べている。血圧はもちろん測っています。その基本健康診査で行われている血糖検査以外の情報が有意に異常であるという積み重なりが多ければ多いほど、その人たちは糖尿病の危険もさることながら、動脈硬化がすすみやすい状態にあるという理解が必要です。要指導と判定された人たちの中で、どうしても積極的に指導してあげなけ

 

 

 

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